中国のサイバーセキュリティ法について[デイキャッチ補足]
6/6日放送のTBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』では、6/1日施行の中国サイバーセキュリティ法について扱った(詳しくはサイトから音声をきいてください。でも一週間で消去されるので、TBSラジオクラウドならもう少し聞けるかも。)
元ネタとなった記事は以下を参照
元ネタとなった記事は以下を参照
「中国、ビッグデータ統制 持ち出し規制の新法施行」(日経、2017/6/2)「中国が主張する「サイバー主権」って? 言論統制強化へ「セキュリティー法」施行」(産経、2017/6/1)
「中国、サイバーセキュリティー法施行 曖昧な中身に企業困惑」(CNN,2017/6/2)
「中国、サイバーセキュリティー法施行 曖昧な中身に企業困惑」(CNN,2017/6/2)
また放送後(放送日?)にもより詳細な記事も出てます。
法律の原文はこちらから。グーグル翻訳を使えば中国語がわからなくともなんとなく雰囲気は伝わるかも。
またこちらの法律、106社の企業にアンケートしたところ、9割以上は内容をよく知らない、というニュースも出ています。
番組でも述べた通り、この法律はプロバイダーが政府の要求に応じてユーザーの個人情報を提供しなければならなかったり、58条には政府によるインターネットシャットダウンを合法化するなど、大きな問題になっています。
同時に、海外企業はユーザーデータを中国内に保存しなくてはならず、データ越境に際して許可制になります。さらに当局が判断すればそうしたデータを海外企業は当局に開示しなければならなくなりました。これら技術協力はその表現が曖昧で、何をどの程度要請されるか、現状ではわかりません。だからこそ海外企業は不信感を募らせています。だって、曖昧だからこそ目をつけられたら何されるかわからないじゃないですか。曖昧な表現は自粛や萎縮を呼び込むということです。
中国は世界経済の重要なプレイヤーですから、企業活動する上でこうした障壁は大きな問題です。ニューヨーク・タイムズ紙などをはじめとして、欧米では日本以上にこの問題を大きく扱っています(むしろ日本の扱い、ちっちゃいなあ)。
中国は数年前から海外のIT企業を押しのけたい、という意向があったので、このニュースそのものはこれまでの延長線上のものとして位置づけられます。とはいえ、どんどん締め付けが強くなった感はあります(ちなみに中国のネット事情については、高校の先輩でもある山谷剛史さんの『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立』が参考になります)。
◾イギリス「調査権限法」について
ここからは放送で言えなかった問題について。こちらの記事がとても興味深かったので紹介
ますます監視が強くなる!? 取り決めが具体化する「英国デジタル監視法」(前編)(後編はこちら)(THE ZERO/ONE,2017/5/31,6/1)
Investigatory Powers: 'Real-time surveillance' in draft update(BBC,2017/5/5)
Investigatory Powers: 'Real-time surveillance' in draft update(BBC,2017/5/5)
詳しくは上記のサイトをみてほしいのですが簡単に説明を。イギリスでは昨年調査権限法という法律が可決されました。これは現首相のテリーザ・メイが内務大臣時代に提出した法案で、令状なしに警察が市民の個人情報を閲覧可能にするというものです。さらにこちらも警察への協力義務がありますので、企業に暗号解除を求める可能性もあります(そう、IT企業にバックドア=裏口をつけろと要求する可能性もあるということです)。
問題含みのこの法ですが、非営利団体によって技術的な特記事項をめぐる草案とされる文書が公開されたことで、さらに波紋を呼んでいます。
では今日はそんなところで。
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